この記事を読んだとき、先日Adobeの取締役だかが、「Appleなんて糞食らえ」などとブログに書き込んだことを思い出した。そう、Adobeが正式にFlashのiPhone/iPod touch/iPadへの対応を見送ったのだ。それに伴い、Flashで製作したコンテンツをiPhone/iPod touch/iPadのアプリに変換するソフトウェアの提供も終了するらしい。現状のことを考えると、Flash非対応で煽りを受けるのは他でもないApple自身な気がする。何せ、現実的に考えてFlashを利用しないサイトなんてほぼ存在しないのだ。それにさすがのApple教信者達も間違いなく困る。
もっとも私の頭の中ではAppleとAdobeの製品は共にCG業界・音楽/映像業界を歩いてきた気がするからそう思うのだろうが、実際そうではなかろうか。しかし現状そうでもない様だ。
あくまでAdobeがMacintoshプラットフォームで製品を出し、それの恩恵をユーザーが受けていた時代というのはMac自体がPowerPCを採用していた頃までで、Intelプラットフォームになった今、実際の動作を考慮に入れるとWindows機の方が速いなんてこともしばしば、らしい。確かにAppleの作るディスプレイは非常に色再現度も高くプロフェッショナル用途に向いてると思うが、現在、サードパティが生産するディスプレイで色再現度を高めたディスプレイなんてたくさんあるわけで、その点は問題ないし、Adobeのカラープロファイルを利用すれば問題ないレベルになるはずだ。ましてや印刷屋さんは未だにブラウン管とMac G4/G5を使っているわけで、Intel Macなんて使っていない。つまり、もはやAppleは取り残されているのだ。そして更にそれに追い討ちを掛けるように今回の半ば"鎖国"的経営判断。狂信者はついていくだろうが、一般ユーザーは離れるばかりだと思う。
その一方でWindows機としては異色、というより独自の規格が多くて使いづらかったSony製品はここ数年で確実に開国に成功し、そのブランド力を保ち、更には今非常に熱いユーザー層である中国の上流階級の心をつかんでいる。まぁ中国の話などどうでも良くて、PC自体のことをここでは考えたい。
97年頃、VAIONOTEシリーズをリリースし、それまで硬いデザインばかりだったPCに新しい風を吹かせたSony。しかしその独特なデザインは、技術、すなわち時代が追いついてなかった。SDではなくメモリースティックにこだわったり、ジョグダイアルなど特殊なパーツを採用したり、メモリーも独自形状のものを採用したり、何かAppleと似たような空気を感じる。しかし今ではどうだろう。全体的にPCが小型化し、設計の自由度も広がってVaioシリーズの洗練され、独特なデザインももはや当たり前になった。しかしそのような中で、私が使うVaio type.Zのように技術力の高さをフラグシップモデルで発揮し、コストパフォーマンスのよさをCシリーズなど一般層向けのノートPCで発揮している。
つまり、時代がSonyに追いついた形だ。
Appleとは相反して、時代の流れに段々あわせていったのがSony。
基、AppleをSonyが追いかけていたのは確かだが、どうやらこのレース、今はSonyが優位のようだ。PS3で失敗したかのようなマーケティングも、いまや成功の一途を辿っているし、デザインを優先するSonyのやり方はAppleに近いものがあるが、それでもSonyは成功している。
一方で、AppleがAMDプラットフォームの採用も視野に入れているらしい。
今後、Appleが立ち直る可能性はあるのだろうか?PowerPC無き今、Appleが持つのはそのブランド力とOSの素晴らしさぐらいなもので、BootcampでMicrosoftのOSの動作を許してしまっているのもまた、彼らを弱体化させてる気がする。
ブランド力、それを守る為の今回の鎖国、という決断。
吉と出るか凶と出るか。これからが楽しみである。